前回に引き続き「ケガ」です。
スポーツをすることは、じっとしているよりも勿論ケガが発生する率が多くなります。だからといってスポーツをしない、ケガの発生をビクビクしながらスポーツをする、ということはないでしょう。スポーツをより楽しむためには、ケガが発生することに対して認識をし、そのケガを出来るだけしないようにすることを実行することが大切です。また既にケガをしてしまっていてもそれを出来るだけ早くよくする、ケガの状態や痛みを出来るだけ軽減させることが必要となります。
そのためにはやはり、運動(トレーニング)、栄養(サプリメント)、休養(ケア)、の三位一体をおこなうことです。おこなうといってもただおこなえば良いわけではなく、エビディンス(理論)に基づいた正しいことを実践することです。
今は、トレーニングについてのお話しです。
前回お伝えしたように、筋肉と腱に関してはとにかくストレッチングです。とにかくです。もう既にやっている人はもっと・、やっていない人はとにかくやる、ことです。毎日の風呂あがりが効果的です。
そこで今回は、「靭帯」です。靭帯に対してはストレッチングではありません。ずばり、筋力トレーニングです。靭帯は各関節をホールドするものです。その関節をホールドするものには、靭帯だけではなく筋肉の能力も大きく作用しているのです。関節は靭帯と筋肉でその正しい動きを導くようになっています。
関節とは、A骨とB骨が接しています。そうなのですA骨とB骨のあいだには隙間がありません。
隙間なく接していてA骨とB骨が滑りあいながら動き、その関節側からはなれている先のA骨とB骨が大きく動き、身体に動きが出ます。
骨は当たり前のことですが痛みを感じます。叩かれたら痛い、ヒビが入っても勿論痛い。と、骨には知覚神経が通っています。ということは、関節部で骨と骨が接していて滑りあっているならば、関節を動かすたびは痛みが出てしまうことになります。
とそれでは困ってしまうので、何かがどうかなっていて痛みを感じないようになっていますが、それは、骨がこうなっているのです・・骨は隣りの骨と関節し接している部位だけが「軟骨」になっているのです。骨と軟骨は連続しつながっていますが、それぞれは違うものです。
骨は痛みを感じますが、軟骨には痛みを感じる知覚神経がなく痛みを感じないのです。なので、関節部でそれぞれの骨が接していても痛みを感じずにいられるわけです。よって正確には、骨と骨が接しているのではなく、軟骨と軟骨が接しているのでした。(前述、ウソをついてスミマセン。。)
ということで話は戻し、その関節をおさえている靭帯が(スポーツによってなどで)伸びてしまったら(前回記したようにホントは伸びてはいません。一部が切れている状態です)靭帯の長さが長くなってしまうので、その関節に多少なりとも隙間ができてしまいます。
軟骨と軟骨は接していることにより関節の本来の機能があるわけですが、隙間が出来たら接しなくなる場合がでてきてしまうことになります。これが大きな問題です。靭帯が多少でも切れて長さが長くなることは痛みや違和感が出てそれ自体も大きな問題ですが、それにより関節に隙間が出来て軟骨同士が接しなくなることがあることが問題なのです。
軟骨は読んで字のごとく柔らかいのです(勿論、すごく柔らかいといったことではないのですが、骨よりも柔らかいのです。さらに述べるならば例として、骨はメス(手術で切るために使う道具)でも切れないが、軟骨はメスで切れます、がカッター(我々がよく使う紙などを切ったりする道具)では切れません。程度の柔らかさです・・なんとなくその柔らかさと硬さが想像できますかねー)。
通常の関節はそれらが接していて滑りあっているので軟骨全体が均一にちょとづつ削れて一生の時間をかけて減っていくことになります。
が、靭帯が伸びて接していない場合が発生すると、軟骨と軟骨は離れていたり接したりで、そのたびの接する瞬間はお互いが、ブツかる、ということが起こるようになります。
それにより、ブツかる部位は滑りこすれあっているよりも大きな影響を受け、軟骨はどんどん削れて無くなることになり、取り返しがつかないことになっていくのです。
各軟骨は元々、1〜4mm程度しか厚みがありません。それで一生を過ごします。軟骨は再生しません(厚みが戻ることは医学的にありません)ので、関節に隙間が出来て軟骨同士がブツかるようになると、その薄い軟骨はさらにどんどん減っていってしまう一方なのです。
減りきった最後はどうなるか。それは軟骨ではなく骨がブツかるようになるのです。そうです、骨は痛みを感じます。痛みが出てその後はどうしようもなくなります。。
と、そこまで大げさな話を述べる必要もないかもしれませんが、靭帯を伸ばす、といったちょっとしたこと、大したことではないことは、確かにその伸びた程度が大したことがなければ、その靭帯自体は大したことはない場合もあるでしょうが、それが、見えないところ気づかないところで(軟骨は痛みを感じないので、削れて減っていっても分からない・)軟骨の磨耗につながっているのです。
少しでも靭帯を伸ばしてはいけません。。すでに伸ばしてしまっている場合はそれ以上に伸ばしてはいけないのです。もちろんのことですが。。
ではその靭帯を伸ばさないためにはどうしたらよいのでしょうか。
残念ながら靭帯を鍛える、ということはトレーニングではできません。では・・、先に関節をホールドするのは靭帯と筋肉と述べました。
そうです、靭帯をカバーするのは筋肉がポイントとなります。全ての筋肉は関節をまたいでついています。その筋肉が収縮すると骨と骨が近づくように動くわけですが、近づくように動くということは、骨と骨を近づけているわけで、関節内でももちろん近づいているわけです。
筋肉が的確に使えるようになれば、靭帯にだけ大きな負担をかけずに関節をホールドすることが出来るということになります。
そこで、筋肉を的確に使えるようにするためには、まずはその筋肉の力を高めることがベースとなります。筋力トレーニングは、身体全体の動きをよくする(スポーツの動きをよくする)だけではなく、靭帯への負担を減らし、関節の動きもよくしているのです。
これも前回に伝えましたが、人間の動き、骨の動きは、関節を支点してその両端の骨が動いているので、その支点となる関節に隙間が出来て動きがチグハグになると、動きの支点自体が安定しないわけですから、その動き自体がおかしくなります。
動きも正しくない、よりいっそうの筋力を必要とする、などです。関節は隙間なく密着していればいるほど、ケガに関することだけではなく、動きにもよくなるのです(関節がホールドされていること、ってスポーツを楽しむためにとても重要なことなのです・)。
そのためには、鍛えられない靭帯をどうこうするのではなく、どうこうできる筋肉の能力を高めることです。筋力トレーニングはとてもとても重要となります。それも出来るだけ全身の各関節を使ったものを。カーツでの加圧トレは最高!に効果的で〜す。
では筋トレだけしていればよいのか。とさらなる話しをします。結論は筋トレだけでは、関節をホールドするための筋力の能力は獲得できません!
ベースは筋トレですがそれだけでは生かせないのです。筋トレとは、自らが意識してその動きその骨その関節を動かそうとして動かしている結果、筋力が高まるわけで、それら筋肉の能力は高まってはいます。がそれは自ら意識して動かして・なので、筋力は高まるのですが、それをあやつる神経や受容器(感覚を受取るもの)はほとんど考慮されていません。
少し難しく述べると、脳で考え部位を動かす筋トレは、脳 → 脊髄 → 運動神経 → 筋肉収縮、です。この回路のみが使われそれに関わる組織能力が発達します。が、関節をホールドする際に、スポーツをしている場面なので、いちいち頭で考えて、この関節をホールドするためにこの筋肉を、次はこの関節をホールドするのにこの筋肉を・・などと考えておこなうことができるでしょうか。できません。そんなことしていたら、スポーツ、ができません。
でも筋トレで筋力を鍛えても命令を出さなければ筋肉が収縮することはありません。命令を出さずに筋肉が収縮していたら、私達は自分の意識とは関係なく身体が勝手に動いてしまうことなります。
意識はスポーツを上手くおこなう方に持ちながら、必要な箇所の関節に関わる筋肉だけが(無意識下で)的確な筋力で関節をホールドしてくれるように動けばよいのです。それにはそのようなことが起こるように筋肉などを鍛えなくてはならないのです。
あらためて述べます、筋トレは筋肉の能力を高めるためのベースとして必要ですが、それだけでは駄目なのです。では、どのようなものが必要か。それは、ある動きで関節が離れそうになると、それと同時にその関節をまたいでいる筋肉や腱が関節が離れるとともに引っ張られ、筋肉や腱の中に存在する受容器がその引っ張りを感知する、とそれを知覚神経にのって脊髄に送られて、脊髄の反射機能で運動神経に命令を出し、運動神経を経由して、その引っ張られ伸ばされそうになった筋肉を収縮させる、と関節が離れずにホールドされる、といったむずかしくこれを読んだ皆さんが、何を言っているんかいな・、と思わせるような、回路が働くことが必要なのです。
簡略すると、関節が離されそうなると→筋肉内の筋紡錘や腱内の腱ゴジル器官など感知→知覚神経→脊髄(&反射)→運動神経→筋肉の収縮→関節がホールド、となります(あまり簡略してません。すみません・)。
文章が長くなってしまってきているので、この後は簡潔にお伝えします。
で、このような能力を鍛えるためには、無意識で筋肉を使えるようにトレーニングをすればよいのです。
簡潔に述べます。その能力を鍛えられるもので簡易に出来るものとしては、バランス系トレーニング、です。
バランスをとるために必死になってバランスをとると、勝手に無意識で必要な筋肉を収縮させてその回路能力を向上させてくれます。
膝や足首の関節には、バランスディスクに立ってトレーニング。肩には、バランスボールに手をついてトレーニング。などのトレーニングを様々な多くのバリエーションでトレーニングをすれば、無意識下での筋力を使用するあらゆる回路が鍛えられ高まります。そのバリエーションや方法はまたいつかお伝えできればと思います。
筋トレと、バランストレ。これらをしっかりと継続しておこなって、関節系のケガの予防や回復の率を高め、楽しく、上手く、スポーツを。
それと、たかがストレッチング、されどストレッチングの、ストレッチングです。 |