前回の続きです。腰です。
前回の第8回をもう一度読んで、または図を見ながら、以下をお読みくださればと思います。
腰痛は、避けたいものです。で、腰が痛くなるとはどのような状況なのでしょうか。
まず、最も多くの場合は、脊柱起立筋が硬くなり、凝ることによるものです。ではこの脊柱起立筋はなぜ硬くなり凝ってしまうのでしょうか。それは、普段から運動をしている人も、してない人も、この脊柱起立筋は勝手に筋トレされているからです。我々人間は運動時や日常で、身体を前に倒す場面と、後ろに倒す場面(反る)のどちらが多いか、によるものによるのです。
ちょっと思い出して考えてみてください。朝起きてから日常生活が始まって、座ったり、立ったり、物を取ったり、仕事をしたり、運動スポーツをしたり、生活をするなどで寝るまでの間に様々な動きをしますが、そのほとんどが身体を後ろに倒すよりも、前方向に倒す場面が多いということが分かります。
倒す、という動作は、地球の重力にしたがって、上体をその方向にちょっと落とせば、後はその動作(倒す)が重力により勝手におこなわれます。っということは、倒す動作自体は、ほとんど筋力は使わずにすみます。で、その倒された上体を元に位置に戻すためには、倒した上体を重力に逆らって上げなくはならないので、そこには筋力が使われることになります。
身体を前に倒す場面が多いということは、それをおこすためには身体の後ろにある脊柱起立筋の収縮する筋力によって胸椎のあたりを引っ張り上げて、その身体上体を戻すことになります。ということは、脊柱起立筋は運動や日常の様々な場面で勝手に使われ筋トレしていることになるのです。身体を後ろに倒す場面は少ないので、それを元に戻すために身体の前にある腹直筋はほとんど使われないということです(腹筋トレーニングを意識しておこうなっている人はもちろん除きます)。
筋肉とは、使えば使うほど筋力は高まりますが、筋力を使うということはその筋肉が縮まるということなので、縮みに縮みを繰り返していることになるので、その特性が筋肉に染み付きどんどん縮み、伸ばすことが出来なくなってきて、筋肉が普段から常に縮み硬くなってきます。肩凝りと同じような感じです。
ということは、硬くなって固まって血液の循環が悪くなるので、疲労物質も溜まりやすくなり、新たな必要栄養素も筋肉に入ってきにくくなるのです。それは腰の違和感、そしてそれがどんどん悪化していくと、腰の痛みになっていくことになります。それは腰にある脊柱起立筋の違和感であり痛みであるのです。でこれは、その脊柱起立筋が硬く短くなっているので、身体を前に倒す動作である前屈が出来難い(俗に言う、身体が硬い)ということです。
そこでこのようなことの解決方法は、とにかく前屈のストレッチングをすることとなるのです。そうすれば、身体の後ろにある縮まってしまった脊柱起立筋が徐々に伸び徐々に柔らかくなっていくとになります。がこれをおこなって、よくあることが、腰痛の人が前屈のストレッチングをすると、もっと腰が痛くなるとか、ストレッチングをしている最中から腰部が痛み出してしまうことです。それによって、その前屈のストレッチングが出来ないや、その行為自体が自分の腰にはよくない、と思ってしまうのです。
これは、固まってしまった筋肉を、ストレッチングで伸ばすわけですから、最初にうちは、固まったものをグッと引っ張ることになるので、もちろんある程度痛みが出てしまうことは当たり前のことなのですが、それを自分の腰には悪いこと、や、自分は前屈のストレッチングが出来ない、とは思わないで、それをおこない続けることが本当はとても大切なのことなのです。またそれをしなければ、固まった筋肉がいつになってもほぐれず伸びず、大げさに言えば永遠に固まった脊柱起立筋と共に生きていくことになるので永遠に腰痛となくなりません。
ですので、前屈のストレッチングをして脊柱起立筋を伸ばすしてほぐさすことをしなくてはならないのです。 がだからといって、どんなことでも急激に無理やり沢山おこなっては、それは逆効果であり、長年の蓄積で硬くなってしまった脊柱起立筋は、そんな簡単には柔らかくになりませんので、軽いストレッチングから徐々に徐々に期間時間をかけて伸ばしてほぐしていかなくてはならないわけです。大きな痛みが出ないように(多少痛みは出ることはいたし方ないことなので・。それだけ固まってしまっているのですから)毎日少しづつ軽めのストレッチングから始め、徐々に徐々に脊柱起立筋をほぐすようにすることです。
この、勝手に脊柱起立筋が鍛えられることが、脊柱起立筋の痛みに結びつくのですが、これはそれをほっておくとさらなるもっとやっかいな痛みに結びついてしまうのです。
前回述べましたように、脊柱起立筋が使われる(収縮)と、腰部が伸展する(反る)ので、もともとの腰部の前湾よりももっと前湾してしまうのです(過前湾)。腹直筋を使えばそれが逆になるのですが、先に述べたように腹直筋は普通は脊柱起立筋と比べてほとんど使われないので、結果、どんどん腰部は過前湾していくことになります。
腰が反った状態です。
その過前湾は、腰の骨達の後ろ部分へ上下の圧迫が増すことになるので(前が開き、後ろ側が閉じるので)、前回の図をみて分かるように、特に、椎間板の後ろ側の部分、や、椎間関節の部分の骨、に強く多く圧迫が加わることになります。その結果は、椎間板への上下からの圧迫により、椎間板がつぶれていき、そして起こることは、つぶされた椎間板のゆくえは(つぶされた椎間板の逃げるところは)、後ろ部分への突出となります。
これは例えれば俗に言う椎間板ヘルニア、などというものです。また、椎間関節部への一部の箇所の骨への圧迫はその結果、これも例えれば、聞いたことがあるかもしれませんが、腰椎分離症(骨への圧迫により、骨にヒビが入ってしまう)とか、スベリ症(そのヒビで折れた骨がさらなる圧迫によりズレが生じてくる)とかといった名称の症例にもなっていってしまうのです。
これらはさらには、坐骨神経痛などともつながっていくものなのです。
これらを防ぐためには、あるいは成りかけてしまっているものを回復されていくためには、もうお分かりと思いますが、腰部の過前湾を直せばよいわけです。過前湾になってしまう要因が、脊柱起立筋の短縮によって腰椎全体が後ろに反ってしまうことと、腹直筋が鍛えられていないので、それを逆に引っ張ることができない(過前湾が通常の前湾へ導く)、ことによるものです。
ということは、これらを解決するのは、そうです、「脊柱起立筋のストレッチング」と、「腹直筋を鍛える(筋トレ)」をすることなのです。この単純なこの2つの事が、腰椎の過前湾を無くすことになるのです。
また、人間の機能に、相反性作用、というものがあります。これは、ある筋肉を使う(筋力発揮)とその反対側にある筋肉が弛む、といったものです。これは例えば、腕なら、肘を曲げる上腕ニ頭筋に対して、肘を伸ばす上腕三頭筋。
モモなら、前面にある(膝を伸ばすための)大腿四頭筋に対して、後面ある(膝を曲げるための)大腿ニ頭筋等。といったもので、それは腰周りでいうならば、腹直筋に対して反対側にある脊柱起立筋となります。ということは、腹筋トレで腹直筋を鍛えればそれは脊柱起立筋を緩める(ほぐす)ことになるのです。
立った状態でも床に座って脚を投げ出した状態でもとにかく「身体の前屈のストレッチング」をして脊柱起立筋を伸ばしほぐし、あとは「腹筋のトレーニング」で腹直筋を鍛えて、「腰」をより良い状態にいたしましょう。。
(既にとても凄く腰に痛みがある場合は、まずは「整形外科」で診断を受けてからおこなってください) |