膝の内側あたりが痛むや違和感がある場合は、内側側副靭帯、内側半月板、鵞足部(薄筋、縫工筋、半腱様筋、半膜様筋、の骨への付着部)などの炎症が考えられます。内側側副靭帯は、膝の真内側に痛みや腫れがあり、膝を内側に入れた動きをした際に痛みが増す傾向があります。内側半月板は、膝蓋骨の下内側に痛みや違和感があり、その部分に腫れがあり、たまに膝がポキッと鳴るなどが起こります。鵞足部は、膝内側下部(脛骨の上部で真内側の出っ張った骨部のすぐ下の谷になるところ)を押すと痛む場合です。
痛みや違和感には、まずは前回記載しました「RICE」を面倒くさがらずに毎日、運動後スグおこなうことです。たとえある日に運動をしていなくても、日常の生活自体は身体を動かしているので運動に値します。就寝前などにRICEを。
その以外の処置としては、内側側副靭帯に関してはこれも前回記載しましたもの、動きの際に膝が内側に入らないように膝の動きを改善するように意識して動き、(膝が内に入らない)正しい動きを身につけること。と、膝が内側に入りやすい人は、股関節の回旋の可動域が、内旋よりも外旋が硬い場合が多いのでその場合はアグラをかく等の膝が外側で足先が内側になるような動きやストレッチングをして外旋の動きを柔らかくすること。内モモ(内転筋群)と、外側(中殿筋、小殿筋など)の筋肉のバランスでは、外転の筋肉群が弱いこともあげられます。脚を外側に動かす動き(アブダクション)のトレーニングをおこなうことも必要です。
内側半月板には、内側側副靭帯の場合も含めて、膝周りの筋肉を付けることです。これはただ単に脚の筋力トレーニングをすればよいといったものではなく(もちろんそれだけでも何もしないよりは良いが・)、膝周りの筋肉を使ったバランス系のトレーニングをすることです。バランスボードやバランスディスクに立っての様々なドリル(スクワットをしたり、膝のあらゆる角度でとめ、上半身を様々に動かす等)をすることです。これで膝関節をホールドし良い意味で固めるための筋肉が付いてきます。これは前回記載したものにプラスして前十字靭帯の損傷の予防や回復にも良いものです。
膝蓋骨の真下部あたりに痛みがある場合は、膝蓋靭帯の炎症が考えられます。もちろんこれもRICEを毎日繰りかえすことが大切ですが(どのようなどの場所への痛みや違和感にもRICEは必須で基本となる処置ですが・)、それ以外には、大腿四頭筋が硬くなっていることが原因と考えられます。特には、大腿直筋の硬さです。これを柔らかくするには、膝を曲げた状態で、股関節を伸展させる(大腿部を後ろ方向にもっていくこと)ことです。ひとつの方法としては、差正座状態から(片脚づつでも)、そのままゆっくりと上体を後ろに倒していくことです。なかなか出来ない場合は最初から無理をせずに、最終的には、膝がもち上がらないで、上半身を完全に後ろ側に寝れる状態にまですることです。このようこと大腿直筋は和らいできます。これは、大腿四頭筋そのものに違和感などがある場合や損傷の予防にも大きく効果的です。
膝の真裏に違和感や痛みをともなっている場合もかなりあります。そのほとんどは、腓腹筋が硬くなっていることが原因と考えられます。腓腹筋はふくらはぎのことですが、ふくらはぎのストレッチングは誰もがよくおこなっているでしょう。が、通常の方法(脚を前後に開き、後ろ脚のアキレス腱とともに伸ばすもの)ではなかなかこの筋肉は和らがないのです。手軽に出来もっとも効果的な方法は、階段などの段差を使うことです。片脚づつ、足裏前1/3くらいを段に載せ、膝を完全に伸ばした状態で、足首を曲げながらカカトを下方に出来るだけおろします。正しくおこなえば、膝裏あたりにストレッチされた伸ばされた良い意味での痛みを生じます。この方法を続けることが予防や回復につながります。
ということで、簡単ではありましたが「膝」についての構造と損傷などの判断と対処(予防や回復のトレーニング)の方法を説明いたしました。