身体部位で、痛みや違和感が出ている方は多いと思います。
そこで、自分の身体の部位別のメカニズムを知り、それを踏まえた対処法などをお伝えします。
傷害には、急性期の外傷と、慢性期の障害とがあります。
どちらにせよ、人間の身体がおかしくなることで、その身体の構成物質のなにかがどのようにか変になっているわけです。発生した状況や今の主観的状況は様々でしょうが、身体の構成物質が何かしらになっているという状況ですので、どの場合でも身体メカニズムで説明が出来き、それに基づいて、傷害の予防や再発予防や回復を求めることが出来るものです。
PCT第4回と第5回にも、身体の機能を大まかに述べていますので、それも参考にしながら、この後をお読みください。
様々な「語」が出てきてむずかしいと思いますが、ご自分の身体に存在しているものですから、これを機会にひとつ一つその場所を考えながら、ご自分のそれを触ってみながら、覚えてもらえたらと思います。
今回は、「膝」をフォーカスします。
ウインタースポーツの、スキー、スノーボード、でももちろん痛めやすいですが、ランナーも痛めやすい、というかどのスポーツでも、スポーツをしていなくても身体部位の中で痛めやすい部位ですね。
まず、膝には何があるのか。膝を構成している物質は何か。人としてそこにあるものがどうにかなって損傷するので(人間としてそこに元々無いものを痛めるわけではないので)、まずそこ(膝)に何があるのかを知ることが必要です。
まず膝には、骨があります。ももの骨の「大腿骨(ダイタイコツ)」。すね側の骨のメインの骨「脛骨(ケイコツ)」と、その外側にある細い「腓骨(ヒコツ)」。があります。それと、膝の前にあるお皿と呼ばれる「膝蓋骨(シツガイコツ)」。
膝関節部でのそれら骨をつなげる靭帯には、外側にある「外側側副靭帯(ガイソクソクフクジンタイ)」。内側にある「内側側副靭帯(ナイソクソクフクジンタイ)」。そして関節内にある「前十字靭帯(ゼンジュウジジンタイ)」とそれと交差するように存在する「後十字靭帯(コウジュウジジンタイ)」。その他に小さな靭帯もありますが、ほとんどがこの4つの靭帯で機能しています。またそれとは別に「膝蓋靭帯」と「腸脛靭帯」いうものがありますが、これは後述します。
軟骨には、関節内の、大腿骨の下端部にある硝子軟骨(ショウシナンコツ)、脛骨の上端部である硝子軟骨。同じく関節内の、大腿骨と脛骨の間にあり、外側の「外側半月板(ガイソクハンゲツバン)」と、内側の「内側半月板(ナイソクハンゲツバン)」があります。
と、関節自体全体を覆っている包み状の「関節包(カンセツホウ)」。その関節包の裏側の「滑膜(カツマク)」。関節包内を満たしている液体の「関節液(カンセツエキ)」。
それとあとは、筋肉と腱です。モモの前にある「大腿四頭筋(ダイタイシトウキン)」が膝蓋骨の上部に付きます。機能的にこの大腿四頭筋に続き、膝蓋骨の下部と脛骨を結ぶ前述した「膝蓋靭帯(シツガイジンタイ)」があります。が、これは靭帯の機能というよりも大腿四頭筋の腱としての機能が主です。
ももの後ろのちょっと外側にある「大腿ニ頭筋長頭(ダイタイニトウキンチョウトウ)」と「大腿ニ頭筋短頭(ダイタイニトウキンタントウ)」。膝の後ろの外側をそれら2つの筋肉がひとつになって大腿ニ頭筋腱として通過し腓骨の上端に付きます。
ちょっと内側にある「半腱様筋(ハンケンヨウキン)」とそれと重なり合うようにある「半膜様筋(ハンマクヨウキン)」、これらは膝の内側を跨ぎ、腱となって脛骨の内側に付きます。これら4つの筋肉をまとめて「ハムストリングス」とも呼びます。
と、膝の内側を跨ぐものとして「縫工筋(ホウコウキン)」と「薄筋(ハッキン)」。これらも腱となって脛骨の内側に付きます。
また、ももの外側から膝の外側を経由して脛骨の外側に付く「腸脛靭帯(チョウケイジンタイ)」があります。これも靭帯の機能というよりも、おしりにある「大殿筋」と骨盤外前にある「大腿筋膜張筋」の腱にあたるものとしての機能が主です。
それと、膝の裏を通る筋肉の「腓腹筋(ヒフクキン)」。これは通称ふくらはぎといわれるものです。大腿骨から始まり踵の骨の停止する筋肉で、ズバリ膝の裏に存在しています。
で、それらがどのようになることにより、損傷しスポーツ傷害となり痛みや違和感となるのでしょうか。
まず骨ですが、骨がどうこうなる、ということはそんなに多くありません。またあった場合はそれはずばり骨折です。病院でレントゲン(X線)をとればすぐに分かります。こうなったらギブスをして安静が一番です。予防や回復には、栄養素、カルシウム、ビタミンC、タンパク質などの摂取量が最も影響するでしょう。
靭帯。外側と内側の靭帯では、それが損傷する可能性は、そのほとんどが内側の靭帯で、外側の靭帯を痛める可能性は低いものです。内側側副靭帯の損傷の予防や回復に重要なことは、脚の動きフォームを正しくすることです。スキーやスノーボードなどの特別な動きやシューズを履いているときではなく、それ以外の運動シューズや普通靴を履いて動いているとき、何気なく走るとき、しゃがみこんだとき、トレーニングを行なうとき等に、膝が内側に入ってしまう人は、その動きを直すことが必要です。そのためには股関節の回旋の可動域や、内モモと外側の筋肉のバランス、と靴の中に的確なインソール(カカト部分のインソールシェルが硬いもの)を入れるなどの対処も必要ともなります。それと靭帯を構成させるには栄養素のビタミンCの摂取が必須です。
関節内の、前十字靭帯は主に下腿(脛骨と腓骨の部位)が前方に無駄に動かないようにあるものです。その逆に後十字靭帯は下腿が後ろに無駄に動かないように存在するものです。
これら靭帯は、損傷する場合はそのほとんどが前十字靭帯で、後十字靭帯はあまり損傷しません。また後十字靭帯は完全に切れてしまっても、そのままプロスポーツを続けている選手もいるくらいで、もちろん状況にもよりますが損傷してもどうにかなる靭帯ともいえなくないものです。逆に、前十字靭帯は損傷しやすく、損傷すると膝が抜けるような感じになり、スポーツをするには相当マイナスの影響をもたらします。その予防と回復にはモモ後ろの筋肉ハムストリングスを鍛えることです(膝を曲げる動作)。大腿四頭筋(膝を伸ばす)の主強化ではありません。
軟骨が、損傷しているかの見分けは、膝が腫れているかどうかです。特に膝蓋骨の下の部分がふっくらしているときは、軟骨の損傷の可能性が高いのです。損傷してしまったものには、膝周りの筋肉を鍛えることと、関節用のサプリメントを継続して摂取して、その損傷してしまった軟骨をサポートしてあげることが大切です。軟骨が損傷しているときは、同時に靭帯を損傷してしまう場合がほとんどですが、靭帯は一度伸ばしてしまうと元には戻らないので膝が緩くなり軟骨に負担が多くかかるようになるのです。よって、膝周り筋トレやサプリ摂取をおこなわないとズーと痛みが伴うことになってしまいます。
靭帯を伸ばしてしまって、元に戻したい場合は、損傷した直後の時のみにチャンスがあります。「損傷した直後からすぐRICEをしばらく繰り返して(〜2、3日間は、2時間置きに)、1〜2週間はスポーツをしないで安静にしていること」により、戻る可能性があります。
※ RICEとは・・
R=Rest=安静=しばらくの期間、安静にし極力動かさない。
I=Ice=冷却=氷や雪をビニール袋に入れて、10〜20分間冷やす。冷シップでは損傷物質まで冷えないのでこの効果は無い。
C=Compression=圧迫=弾性包帯などで適度に巻き患部を押さえる。
E=Elevation=挙上=損傷した患部を心臓よりも高くあげておく。
このRICEは、スポーツ傷害が発生した場合の、基礎となり非常に大切な処置方法です。
で、この後も長くなるので、この続きはまた次回に・・。
|